正式な作業服

大人の真似をしたがる中学生にとってタバコやお酒は興味のあることの一つであるが、「タバコは身体に良くないから、成人になってから吸いなさい」というが、自分が吸っていては、どうも説得力がない。
法律で決めただけでは、水に溶けないカフェイン・ニコチン・アルコール・コカイン・ヘロイン等の物質は、脳の関門を通してしまう。 タバコやシンナーを吸ってフラフラするのは、このためである。
脳細胞は成人するまで増え続け、その後ひたすら減っていく。 もちろん、使い方や栄養で減少しない。
成長期にタバコを吸うことがどうしていけないかと、子供が理解できるように説明してあげなければならない。 では、何故、成長期のタバコは良くないのか?代謝のために重要な酵素は、タバコのカフェインで作用が激減してしまう。
せっかく食べた栄養が代謝せず、体内で乳酸・尿酸・糖となり身体の調子が悪くなる。 そうなると、やる気がなくなる。
アレルギー等の不都合が起こりやすい。 背が伸びたり筋肉がついたりする大事な時期には、食事のバランスはもちろんのこと、タバコは要注意である。
身体への影響だけでなく、タバコは脳へも悪い影響を及ぼす。 脳の毛細血管はうまくできているもので、大切な脳を守るために脳へ有害物質を通さない関門がある。
これを血流脳関門というが、残念ながら水に溶けないが油に溶ける性質をもっている。 歴史絵本記憶に残っていない時期こそ大切、と言われている。
幼少の頃母に読んでもらったのだろうか、遠い記憶の中に残る美しい日本画の絵本がある。 人物の髪の毛までが一本一本ていねいに美しく描かれていたことが、印象的であった。

私は日本画の爽やかな美しさが好きで、デパート等で日本画展が開催されると必ず見に行く。 「美しいものは見るべきです」と強制的に子供達も連れて行く。
そこでも思い出すのは、あの美しい日本画の絵本だった。 幼かったにも拘らずこれほど鮮明に心に残っているということは、よほど魅力があったに遣り方や増え方は違うが、成長の時期は出来るだけ、この関門を通してしまうような物質はさけたいものだ。
特に女性は、胎児の時から体内に卵子を持っており、その卵子が成長し生理となって排卵される。 卵子に傷をつけないためにも、身体は大切にして欲しい。
本物は心を動かし心に残る。 「あの絵本が忘れられないのです。
どこかにないでしょうかねえ」と数人の方にたずねてみたところ、ある方が「本当に、とても素敵な絵本でしたね。 あの絵本は、一流の画家がお国のために何が出来るかという思いで描いた本なんですよ。
素敵な歴史絵本でもあったのです。 敗戦でね、歴史に誇りを持つことを禁止されたわけですから、絵本も当然、駄目だったのですよ。
私も、もう一度見たいですねえ」と説明して下さった。 その言葉を聞いてますます、その本をもう一度見てみたいという気持ちが強くなったが、題名も出版社もわからなかったため、なかなか見つけられずにいた。
そんな時、私はたまたま大きな書店の洋書売場に行く機会があった。 我が目を疑ったが、何とあの本に似た本がある。
紙質は違うし装丁も違うが、絵は同じ。 「うわぁ…あの絵本だぁ…懐かしい…」独り言をいいながらページをめくって「えっ!英語だぁ…」。

洋書売場にあるのであるから当然といえば当然であるが、英語版復刻版「Kの絵本」とホームステイのおみやげに、海外への贈り物に最適……と帯には書かれてあったが、海外へのお土産用として作られた絵本であったところに少々、残念さを感じた。 懐かしい「Kの絵本」は、昭和十一年に「乃木将軍」「四十七士」「岩見重太郎」「漫画傑作集」が創刊され、昭和十七年までに一一〇三巻が刊行されていたらしい。
その中には、童話「桃太郎」「金太郎」、伝記物「豊臣秀吉」「源為朝」、科学物「花づくし」「虫のいろいろ」等があったようであるが、一九五五年、童話物を英語復刻版として刊行したものだった。 「乃木将軍」が欲しかったなぁ…と思いながら「金太郎」を購入。
英語である違和感を覚えながらも、付録の日本語解説を読んだ。 何十年ぶりに手にしたその絵本を、私は胸躍る気持ちを押さえながら、ゆっくりゆっくりと一枚ずつページをめくった。
金太郎のお母さんが、幼い金太郎に庭の土に枝で書きながら何やら教えているページ、偉くなった金太郎がお母さんに何やら報告しているページを見た時には、家胸の奥の深いところが暖かくなっていくのを感じた。 娘に「感動でしょ、素敵でしょ」と感動を強要したが、「ふーん」といった顔で流されてしまった。
きっと幼い私はそのシーンを見て、幼いながらも感動を受けていたに違いない。 心のどこか奥の方に、その感動が残っていたのだ。
私にとっては、もう亡くなってしまった母のぬくもりを感じることが出来る、母と幼い私を結びつけてくれる、暖かな思い出のシーンであったのかも知れない。 その後私は、「この本は何故、日本の子供達用ではないのだろうか」と何となくしっくりいかない気持ちを抱えながらも、海外に出る時はお土産として何度となく持っていったものだ。
最近では名画にみる「国史の歩み」が出版され、この本もとても美しいので海外の方へのお土産に使わせていただいている。 「国史の歩み」の表紙は、おとたちばな姫の絵である。
インドで開催された第二十六回K評議会のテーマは「子供の本を通しての平和」であったが、ビデオを通して行なわれたM皇后様の基調講演「子供時代の読書の思い出」の中にも、おとたちばな姫は登場する。 父のくれた古代の物語の中で、一つ忘れられない話がありました。

年代の確定出来ない、六世紀以前の物語です。 倭建御子と呼ばれるこの皇子は、父天皇の命を受け、遠隔の反乱の地に赴いては、これを平定して凱旋するのですが、あたかもその皇子の力を恐れているかのように、天皇は新たな任務を命じ、皇子に平穏な悲しい「いけにえ」の物語は、それまでも幾つかは知っていました。
しかし、この物語の犠牲は、少し違っていました。 弟橘の言動には、何と表現したらよいか、建と任務を分かち合うような、どこか意志的なものが感じられ、弟橘の歌はあまりにも美しいものに思われました。
「いけにえ」という酷い運命を、進んで自らに受け入れながら、恐らくはこれまでの人生で、最も愛と感謝に満たされた瞬間の思い出を歌っていることに、感銘という以上に、強い衝撃も休息も与えません。 悲しい心を抱き、皇子は結局、これが最後となる遠征に出かけます。
途中、海が荒れ皇子の船は航路を閉ざされます。 この時、付き添っていた后、弟橘比売命は、自分が海に入り海神のいかりを鎮めるので、皇子はその使命を遂行し覆奏して欲しい、と云い入水し、皇子の船を目的地に向かわせます。
この時、弟橘は、美しい別れの歌を歌います。 さねさし相武の小野に燃ゆる火の火中に立ちて問ひし君はもこのしばらく前、建と弟橘とは、広い枯れ野を通っていた時に、敵の謀に会って草に火を放たれ、燃える火に追われて逃げまどい、九死に一生を得たのでした。
弟橘の歌は「あの時、燃えさかる火の中で、私の安否を気遣って下さった君よ」という、危急の折りに皇子の示した、優しい庇護の気遣いに対する感謝の気持ちを歌ったものです。 と語られた、おとたちばな姫である。

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